Børge Mogensen
ボーエ・モーエンセン
1914 - 1972
1942年、王立美術大学家具科を卒業。優秀なコーア・クリントの生徒であり、良き理解者でもあった。1942年から1950年まで生活協同組合の家具部門の主任として活躍した。彼のデザインの視点は常に大衆であり、一般家庭であった。家具の寸法の標準化による様々なユニット収納家具デザインは時代の魁であり、世界初のユニット家具ともいわれている。また彼の注目すべき仕事のもう一つは、テキスタイルデザイナーのリス・アルマンとの共同作業による椅子張り地のデザインである。このデザインコンセプトも家具と同様にシステムによる展開である。2色の糸によるストライプと無地とチェックが基本である。この共同作業によるテキスタイルデザインは彼の作品に重要な役割を果たしている。1945年から1947年まで、王立美術大学家具科で助手として後輩の指導にあたる。1950年、自身のデザイン事務所を開き、デザイン、品質、技術に優れたデンマーク家具のアイデンティティーを打ちたてた1人である。
織田憲嗣氏著「デンマークの椅子」より引用
庶民の味方と呼ばれたボーエ・モーエンセン
質実かつ美しいデザインの家具を後世にたくさん遺し、庶民の味方と呼ばれたボーエ・モーエンセン。今でもデンマークの町中で、多くの彼の作品に出会えます。「造った家具を確認するには、自分で実際に使用してみるのが一番だ」と考えたモーエンセンは、自らの家を実験室と呼んでいました。彼は、作り手側の論理を押し付けること無く、常に生活者の立場に立った物づくりを心がけました。ハンス・J・ウェグナーとは親友で、共同作品も数点発表しています。
親友ウェグナーが描いた、モーエンセンの横顔
- Production -
フレデリシア社の初代社長、アンドレアス・グラバーセンとボーエ・モーエンセンは、高品質な木製家具をつくるというお互いの目的意識が一致し、公私ともに強い信頼関係で結ばれていました。フレデリシア社では、1950年〜70年代にかけ、モーエンセンの作品を次々と製品化。モーエンセンとフレデリシア社は二人三脚のごとく、お互いの栄光を勝ち取っていきました。
「The Spanish Chair」 1958 年、家族とともにスペインへと旅行したモーエンセンは、新しい椅子のインスピレーションを受けました。それは、古代のイスラム文化から影響を受けた広い座面と幅広な肘掛けの椅子でした。デンマークに戻った彼はすぐに、これまでのアーム本来の機能としてだけではなく、新聞やコーヒーを置けるという2 つの機能があるアームを持ったスパニッシュチェアをデザインしました。また、スペイン家具に多く見られる厚革をベルトで締めあげた背と座のデザイン処理もこの椅子に採用しました。 Model 2226 Easy chair W825×D600×H670 SH330
シンプルかつ機能的 「Bench」 1956年デザイン シェーカー家具がルーツのJ39(1947年デザイン)をリデザインした、3236ダイニングチェアのベンチバージョン。座は一枚の牛革で継ぎ目なく張られている。シンプルで大変美しく、機能面でも使いやすい、隠れた名品。 3171 Bench W1700×D480×H760 SH430
モーエンセンが自宅用にデザインしたソファ 「Sofa」 1962年デザイン 完璧なまでにシンプルでクリーンなラインが特徴のモダンクラシックソファ。1962年にコペンハーゲン郊外にあるボーエ・モーエンセンの自宅用にデザインされた。世界中の政府関係の建物や大使館、エグゼクティブオフィスでも多く使われている。