Finn Juhl
フィン・ユール
1912 - 1989
王立美術大学建築科でカイ・フィスカーに学び、1934年卒業。コーア・クリントに学んだデザイナーがデンマーク家具デザインの主流として活躍する中で、独特の発想と造形力で全く違ったデンマークデザインの在り方を示した人物である。ヴィルヘルム・ラウリッツェン建築事務所勤務のかたわら、キャビネットメーカー技術者であるニールス・ヴォッダーの協力を得て数々の名作を設計、その優れた彫刻的形態と造形感覚で独自の世界を作り上げ、世界にデンマーク家具を知らしめた一人。彼の作品は名作であるチーフテンチェアに見られるように、安定した構造体の構成と部分としてのユニークな形態、そのそれぞれの出合い、そこに生まれる独特な全体としての調和とその最高の完成度が特徴である。それゆえ、形態とディテールの美しさで“家具の彫刻家”といわれている。
織田憲嗣氏著「デンマークの椅子」より引用
美しすぎるフィン・ユールの椅子
フィン・ユールは彫刻家のヘンリー・ムーアやジャン・アルプの作品に傾倒しており、その影響からか、ユールの生み出す家具は彫刻作品を思わせるものでした。彼の生み出す家具は、それまでにない構造と造形であったため、どこか危うさを伴っており、それが独特の緊張感をたたえたデザインとなっています。そのことは他の家具デザイナーたちとは違う“華”のあるデザインとして、世界中で人気があります。
フィン・ユールとニールス・ヴォッダー
デンマークの家具デザイナーの多くは家具職人としての技術を修得し、指物師としての資格を持っていますが、フィン・ユールは建築家の道を選択したため、家具作りに関する技術を有していませんでした。その製作面を側面から支えたのが職人のニールス・ヴォッダーでした。彼の存在があったからこそ、フィン・ユールは家具に対する既成概念にとらわれることなく美しいフォルムの家具を次々と発表していきました。
- Production -
1990年、イヴァン・ハンセンとハンス・ヘンリク・ソーレンセンが、家具メーカーのハンセン&ソーレンセン社を創業したことが始まりです。1998年からフィン・ユールの椅子の復刻をはじめ、2007年にそれまで復刻家具のブランド名だったワンコレクションを社名に採用しました。フィン・ユールの多くの代表作のライセンスを取得しています。2017年よりHouse of Finn Juhlをブランド名に起用。
フィン・ユール自身がくつろぐためにデザインした椅子 「Chieftain Chair」 1949年デザイン 現代家具の本には必ずといっていいほど登場するフィン・ユールの代表作。1949年のギルド展で、フレデリック国王が自ら腰掛けた椅子としても有名。この椅子の強烈な印象は当時賛否両論を巻き起こした。
世界で最も美しい肘を持つ椅子 「No.45」 1945年デザイン フィン・ユールの名を世界的に有名にするきっかけとなった作品。各パーツは細部にまでこだわって美しい曲面に削り込まれた名作です。シートとフレームの間には微妙な隙間が作られ、まるでシートが浮いているかのようなデザインです。 FJ4500 W665×D730×H880 SH420
ペリカンが翼を広げて湖に降り立った姿 「Pelican Chair」 1940年デザイン アートをこよなく愛していたフィン・ユールが、ジャン・アルプやエリック・トメセンといった彫刻家の作品の影響を受けてデザインした作品です。 両腕で包み込まれるようなフォルムと深めの座面が素晴らしい座り心地を演出し、実用性もしっかり持ち合わせています。 FJ4000 W850×D760×H680 SH370
「109 Chair」 1946年デザイン アーム全体がフィン・ユールの特徴である3次元曲面に加工され、アームの先端の僅かな窪みに指先が触れるデザインが非常に特徴的です。そのディテールを、いわゆる“手の眼”で愛でることができます。 FJ4653 W650×D550×H750 SH450
「Poet Sofa」 1941年デザイン 左右のコーナー部は卵の殻のような膨らみをもち、身体がすっぽりと包み込まれるようなホールド感を生み出しています。少し身体を傾けて、人との対話を大切にすることをも考慮した、フィン・ユールの作品の中でも最も愛らしい形をもつソファです。 FJ4100 W1360×D800×H870 SH380
「46 Chair」 1946年デザイン 座面が宙に浮いたように見える貫のデザインや、座面下の構造材等はフィン・ユールの独特の手法を用いています。大きくカーブした後脚は無垢材を削り出して加工しています。 FJ4653 W620×D730×H820 SH450
「57 Sofa」 1957年デザイン “57 Sofa” は今から50年以上前の1957年に “Tivoli” のために、フィン・ユールによってデザインされました。両サイドのウィングを背もたれにしても座ることができるソファです。ゆったりと、ご家族でお座りいただけます。背のマットを外すと、ベッドとしてもご使用いただける秀作です。 FJ5700 W2340×D830×H860 SH380
「Baker Sofa」 1951年デザイン アメリカのベーカーファニチャー社のために、フィン・ユールが1951年にデザインしたソファ。2009年にonecollectionにより復刻され、ヨーロッパで話題となり、2009年度の“リプロダクト・オブ・ジ・イヤー”に選定された名品です。 FJ5100 W1950×D800×H980 SH440
「Japan Sofa」 1953年デザイン 名前のとおり、フィン・ユールが日本の建築様式(柱・梁構造)にインスピレーションを受けてデザインされた作品です。その小振りで座面の低いデザインは、日本の室内にちょうどいい大きさで、日本向けの作品といえます。 FJ5303 W1800×D700×H780 SH350
「Tray Table」 1965年デザイン 名前の通り、テーブル天板は脚部に固定されておらず、そのままトレイとして使用できる、非常にシンプルで機能性の高いテーブルです。また、トレイは両面の色が違うため、インテリアに合わせてコーディネートできます。このような自由な発想も、フィン・ユールの特徴です。 FJ5065 W500×D500×H330
「Reading Chair」 1953年デザイン フィン・ユールのデザインの特徴とも言える、各パーツが明確に分割され視覚化された非常にユニークな作品。それぞれのパーツがまさに宙に浮遊するかのよう。この椅子の笠木(最上部のパーツ)は後ろ向きに座った際、肘をつくことができるように配慮されたデザインです。 FJ5310 W510×D580×730 SH420
「Eye Table」 1948年デザイン 小振りなおにぎり型テーブル。フィン・ユールらしいフォルムで、可愛い印象のテーブルです。小振りなため、お部屋の中でレイアウトをいろいろと楽しめます。 FJ4850 W900×D560×H500
「Cocktail Table」 1951年デザイン エッジが美しいおにぎり型テーブル。集まった人たちが、自然と円を描いて座ることができ、穏やかな会話が生まれるテーブルです。両サイドにエッジが無いのは、掃除がしやすいよう機能性を考慮した、フィン・ユールらしい心遣い溢れるデザインです。 FJ5150 W1600×D780×H500