Hans Jørgensen Wegner
ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー
1914 - 2007
1931年、指物技術習得工としての資格を得る。家具製作職人として修行を始めて後、工業学校の家具科を卒業。1943年から自身の事務所を持ち活躍を始める。彼は家具の、人間にとっての道具としての側面を良く理解し、常に人にとっての使いやすさを忘れないデザイナーであり、実用の側面を芸術作品としての家具にまで、矛盾させることなく完成させている。また、同じテーマの作品を繰り返し新しくデザインすることで自身の世界を時代を超えたものにしている。そのキャリアは永く、デンマーク随一の多作な作家であるとともに、デンマーク家具デザイナーの第一人者であり、世界的作家である。その作品は、世界の多くの美術館の永久コレクションとして収められている。
織田憲嗣氏著「デンマークの椅子」より引用
「椅子は人が座るまでは、椅子ではない」
「私の作品は芸術作品ではありません。日用工芸品なのです。ですから手で触ってください。座ってください。そしてよく見て下さい……」生前ウェグナーは自らそう語っていました。日常生活の道具としての家具に対する深い理解があるからこそ、彼のデザインは使い勝手や快適さを献身的なまでに追求し、その結果、日常の家具であると同時に、芸術作品としての評価を得るまでになりました。彼は「美しさ」と「機能性」という相反する世界にある「立ちはだかる垣根」を取り払うことに成功した家具デザイナーです。
- Production -
デンマークのみならず、世界中から「熟練の名工集団」として熱い視線が注がれるPPモブラーは、1953年に家具職人のアイナー・ペダーセンとラース・ペダーセンの兄弟により設立されました。ウェグナーの自邸にほど近いところにあるPPモブラーの工房では、彼に工房の鍵を渡し、いつでも自由にやってきてモデルを作ったりプロトタイプを作ることを許可していました。互いに敬意を払いながら高い技術に対する情熱を示し続けた、ウェグナーとPPモブラーの特別な関係を物語るエピソードです。
コレクター垂涎の逸品 「Bear Chair」 1951年デザイン 両サイドのウィング、がっしりと太い両肘、またその肘下の空間、それらの形態によって、斜めに座ったり肘に足を乗せたりと自由な座り方ができるベアチェア。様々な体勢を受け止めてくれるこの椅子は、まるで母熊に抱かれた子熊のように、リラックスした時間を与えてくれます。背中にはコイルスプリングが入っており、その上に馬毛や麻などの自然素材をクッション材として使用することで、身体をしっかりと、かつ優しく支えてくれます。アームの先端の“爪”と呼ばれる部分は、布・革で構成した場合の劣化・汚れを防ぐ目的で、木がはめ込まれています。随所にデザイン性と機能性が考慮された、ウェグナーらしい名品です。 PP19 W900×D950×H1010 SH420 AH650
ウェグナー 最高傑作のひとつ 「The Chair」 1950年デザイン ウェグナー作品の中でも、プロポーションの美しさ、掛け心地の良さなど、あらゆる点において最も完成度の高いものが、この「ザ・チェア」だといわれている。1960年のアメリカ大統領選で、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンのテレビ討論を行った際、この椅子が使用されたことは有名。 PP501(籐張) W630×D520×H760 SH440 AH700 PP503(革張) W630×D520×H760 SH450 AH700
「PP701」 1965年デザイン エレガントなPP701 は1965 年にデザインされました。この椅子の最大の特徴は、笠木のデザインにあります。4 つの無垢材と薄くスライスした木材とともに寄せ木にし、さらに十字型の契(ちぎり)で結んだものを削り出しており、笠木のデザインとしては最高傑作と言えるものです。 PP701 W630×D460×H700 SH450
カール・ハンセン社は機械加工に強いメーカーで、手仕事の要素が強いウェグナーのデザインをうまく量産化して成功しました。1908年の創業時は城や貴族の家のためのクラシック家具をつくっていましたが、1949年、多くの展示会で注目を集めはじめていたウェグナーのデザインの更なる可能性を見いだし、デザインを依頼したのが大きな転機となりました。代表作のYチェアをはじめ、木の構造を知り尽くしたウェグナーの作品にさまざまな技術力で対応し、ウェグナーのデザイン力を引き出しました。
ラウンジチェアCH71とソファCH72は、いずれも1952年、コペンハーゲン市内の百貨店で開催されたデンマーク家具展示会で発表され、2018年カール・ハンセン&サンの名作コレクションに加わりました。
洗練されたカウホーンタイプのアームや、スタッキング時を配慮し的確にデザインされたラミネートの貫など、美しい日用品を追求した素晴らしい椅子。丸みを帯びたアームは一本の無垢材から製作。肘を置いてくつろぐ等多様な座り方が可能です。
ウェグナーの作品中、最もよく売れているY チェア。“Yチェア”とは、背のY の形のパーツから名付けられました。この椅子のデザインルーツは中国明朝の椅子にあります。Y チェアが生まれるまでには、彼の1944 年のチャイナチェアに始まり、1949 年のザ・チェアといったリ・デザインのプロセスが必要でした。この椅子は、全体の組み立てとペーパーコードの編み込み以外、ほとんどカール・ハンセンの機械技術によって実現されています。 しかし、完成した全体の印象は、機械加工のものとは思えない優美で温かなものです。
CH33は1957年にデザインされ、その後約10年間生産されたモデルです。復刻をのぞむ多くの声に後押しされ、2012年、このシンプルでエレガントなダイニングチェアの生産が再開されました。軽快なフォルムながら、快適性と安定性に優れたダイニングチェアです。
曲げ木技術を応用しゆったりとカーブを描く背は、肘を置いてくつろぐことも出来ます。オーガニックで優美な曲線の木部と、シャープなスチール脚とのコンビネーションが特徴的なこの椅子は、ウェグナーデザインの集大成ともいえます。
座の延長が後脚となる構造。この特徴ある構造により、背と座の角度が深まり、高い安楽性がもたらされます。また、このイージーチェアは400m以上のペーパーコードを使い、熟練の職人が、独特のユニークなパターンで背と座を張り、自然素材の優しさが伝わる非常に美しい椅子です。
モダンな空間に最適なシンプルでエレガントなソファ。一つ一つ手作業で製作されています。クッションには、欧州産の羽毛とウレタンフォームチップで周囲を覆ったクッション材が使用されています。ウェグナー、1965年のデザインです。
1899年、デンマークの海に近い街ギズステズで設立。当時はマットレス専門メーカーでしたが、北欧デザイン界に多大な影響を与えたハンスJ.ウェグナーのデザインに、革新的な技術開発で応え続けたことで、北欧を代表する家具メーカーとなりました。ゲタマ社で作るウェグナーの椅子は、機械加工の長所と確かな職人技の長所を組み合わせた作品が目立ちます。
機能性とデザイン性を融合 「Day Bed」 1954年デザイン 学生寮のためにデザインされたデイベッド。背の部分を押し上げると、ブランケットなどが収納できるスペースがあり、お昼寝やゲスト用のベッドとしても便利です。ソファとしての使用時もフラットな座面でありながら腰部が滑らないよう、座面の弾力がうまく調整されています。ウェグナーならではの機能的でシンプルなデザイン。 GE258 W2050×D880×H770 SH440
特徴ある構造による高い安楽性 「GE290」 1953年デザイン 座の延長が後脚になるウェグナーの得意な構造を持ち、これによって背と座の角度が深くなりゆったりと身体をあずけて寛ぐことが出来ます。後ろ姿も美しく、ウェグナーデザインのソファの中でも人気の高い作品です。ハイバックタイプやオットマンなど、様々な組み合わせを楽しめるシリーズを発表。 GE290/3 W1800×D780×H750 SH420
1948年にデザインされた作品で、大きく湾曲した背もたれが特徴的。座る人を包むように絶妙な曲線を描く背もたれは、第二次世界大戦後に生まれた革新的な合板技術によって叶えられたものです。同時期にアメリカで活躍していたデザイナーのイームズ夫妻が、この作品を展示会で見て、後に彼らの代表作となる「ラウンジチェア」のヒントを得たというエピソードは有名です。